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兵庫・北野坂木下|前泊してでも行く価値。全品に香りの余韻が残る一軒

大事予約の取りにくい店に行くとき、いちばん怖いのは移動のトラブルです。

料理の心配ではありません。電車が遅れる、乗り継ぎを間違える、渋滞に捕まる。それだけで、何か月も待った席が消えます。

だから北野坂木下には、前日から大阪に入りました。

移動リスクを、予約日の前に潰す

富山から神戸へ向かうとき、主軸になるのはサンダーバードです。乗り換えを含めれば数時間かかります。

当日移動でも間に合う計算にはなります。ただ、遅延やトラブルが起きた瞬間に、その日は終わります。

そこで前日に大阪へ入り、一泊してから翌日のランチに臨みました。数万円の食事に宿泊費を足すことになりますが、席が取れない店ほど、取れた一回の価値が高くなります。 遅延で棒に振るリスクとは釣り合いません。

体調を整えた状態で席に着けたことも、結果的に大きかったと思います。

前泊するなら、三宮駅の周辺が翌日の移動に便利です。

入口のインターホンに注意

店が入っているビルは、他の飲食店も入っています。しかも、いずれも人気店です。

そして入口にインターホンが並んでいます。 これが紛らわしい。

緊張している場面で、別の店のインターホンを押してしまうことは十分にあり得ます。同席者を連れているなら、なおさら避けたい。事前に店の位置を確認しておくことをお勧めします。

ベンチで待つ時間

インターホンを押して名前を告げると、扉が開きます。

中に入るとベンチがあり、そこで待ちます。店員が来て予約の名前を呼び、一組ずつエレベーターで店のある階へ 上がっていく方式です。

先に上がっていく客を見送りながら、次は自分の番か、と考える。この待ち時間そのものが、体験の一部になっています。料理が出てくる前から、すでに始まっている。

席は狭い。しかし気にならない

名前を呼ばれ、エレベーターで上がって店内へ。

店は狭いです。ただ、案内が丁寧なため、狭さが気になりません。 限られた空間をどう使うかが設計されている。

通されたのは奥から4席目。ちょうどキッチンの中央にあたる位置で、目の前で調理する様子を見ることができました。贅沢な席です。

店員同士の会話は、日本語と、もうひとつ別の言語。イタリア語でしょうか。それがわかればもっと楽しめただろうと思います。

一品目から、最後まで

一品目から衝撃が走りました。

口に入れた瞬間の塩加減と甘み。そこに、鼻から抜けるいい香りが加わります。全品このタイプだったら最高だ、と思いながら食べ進めました。

そして実際に、最後まで、口の中から鼻に抜ける香りのある料理ばかりでした。

この店が向く場面

お客様との特別な日、パートナーとの特別な日 に。

前泊してでも行く価値があると考えています。逆に、気軽に立ち寄る使い方には向きません。準備をして臨む店です。

もっとも、前泊が要る店ばかりではありません。駅で時間を潰してから向かう店、車の組み合わせを先に決める店、帰りの代行を手配しておく店。16軒それぞれに、店に着くまでの段取りがあります。

実用情報

エリア|兵庫県・神戸
価格帯|30,000〜39,000円(1名/訪問時)
訪問|1回
段取り|遠方からは前泊を推奨。ビル入口のインターホンは複数あるため確認を
向く場面|特別な日の会食、記念の席

この記録について

一献録では、編集部が実際に足を運び、自ら勘定を払った店だけを記録しています。招待も取材も広告出稿も受けていません。

「どの店が美味しいか」ではなく、「どの店を、誰と、どの場面で使うか」 を残すことを目的としています。

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この記事を書いた人

北陸を中心に事業を営んでいます。

経営者同士の会食、気心の知れた仲間との食事。ここで記録しているのは、誰かに勧められただけの店でも、ネットで評判を拾っただけの店でもありません。実際に自分の足で訪れ、自分の舌で確かめた店だけです。

料理そのものはもちろん、店の空気、接客、誰と行くのが似合うのか、そして「また来たい」と思える理由まで。経営者という少し特殊な立場から、店を眺め、食べ、記録しています。

興味はAIとカレー。

一見、何の関係もなさそうですが、どちらも奥が深い。AIは使い方ひとつで仕事の景色を変え、カレーは配合ひとつで皿の上の世界を変える。結局のところ、複雑なものをどう組み合わせ、どう最適化するかという点では、案外似ているのかもしれません。

私は評論家ではありません。
ただ、美味しいものには理由があり自分の体験を通して残しておきたい。

そんな編集者です。

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